でも、この外見のおかげで雑誌の赤ちゃんモデルに起用されて、子役デビューにつながったし、ハーフの役も()れたわけだし……

なんとなく昔を懐かしく振り返りつつ、「ただ色白で髪が茶色いから、そういう風に見えるだけです」、とまとめた。

で、これで話は終わりだろうと思っていたのに……違った。

「へぇ」って相槌を打った彼の指先が、わたしの髪へ伸びてきたから。

そして。
流れに沿って二度三度とそっと、梳いてくれる。

きれいだ(beautiful)

「あ、ありがとう、ございます……?」

……んん?

なんか……近くない?
彼が外国人だから?

初対面なのにって疑問は感じたけれど、その手があんまり優しいから、どうしたらいいのかわからない。

……やだ、何ドキドキしてるの、わたし。
なんか、ちょっと変――



「オレたちさ、前にどこかで会ったことない?」



サッと全身へ、緊張が走った。