ずるいよ。
無理やりされたら、ダメだって嫌だって言えるのに。
こんなの……どうしたらいいの?

とろんと全身から、力が抜けていくのがわかる。
もちろん唇も――


「ぁっ……んん、」


緩んだそこから、するっと彼の舌が忍び込んできた時にはもう、すっかり抵抗する気持ちなんかなくなっていた。

「っ、………ぁ……ジェ、」

絡んだ舌をジュッて吸われ、腰が浮き上がる。

全然知らなかった。
口の中をぐちゃぐちゃにされて、それがこんな……クラクラするほど気持ちいいなんて。


「やっぱり、本物の方が、可愛い」

キスの合間、切れ切れに紡がれた言葉は――熱い唇と舌に溶かされ、身体の隅々まで甘く染みていく。


お酒なんて飲んだことないけど、酔っぱらうってこういうことかもしれない。

頭がひどくぼんやりして身体が熱くて……なんだか怖い。
自分が自分でなくなってしまうような感覚に心細くなって、彼のシャツを指先で探り、縋りつくように引っ張った。

その拍子だった。
襟元からチラって紅い花弁が見えてしまい……反射的にきつく、目を閉じた。