「(ボソッ)麗奈、ここで俺の変わりに指示を出してくれ。俺は気づかれないギリギリまで様子を見てくる。」

私達は今、5階の女性トイレにいる。
やはりと言うかトイレとフロアの間はシャッターを降りていないため中の様子が丸見えだった。

「(ボソッ)ここから解るのは武装集団が見える限りで6人。4人が集まっていて、二人は人質にライフルを突きつけてる状態だね。」

「(ボソッ)あぁ、もしかしたら死角になってるところで、まだいるかも知れないけどな。近くに人の気配は無いからもう少しこのまま様子を見る。」

蓮の人の気配の察知能力は優れていて、遠く離れて隠れていても感じ取れる程の野生の本能があるんだよね。
その蓮が、人の気配が無いって言いきるからトイレ周辺には誰もいないと見て間違い無さそうだ。

「(ボソッ)何が起きるか解らないから気をつけてね。」

私は、トイレの端に座り込み蓮の情報を元に部下達に連絡したところ、4階までのお客さんの避難がもう終わると連絡を受けたので、
すぐ5階まで向かうよう指示をした。

数分後、5階シャッター前に音を立てず来たとの連絡を受けシャッターは一瞬で壊せるか聞いたところ手榴弾ですぐ壊せるとのこと。

「(ボソッ)蓮、シャッター前に着いたみたい。手榴弾なら一瞬で壊せるから同時突然出来るが、巻き込む可能性があるんだけど、シャッター前の様子解る??」

「(ボソッ)エレベーター側のシャッターに人質が集められているが、見た限りではエスカレーター側なら人質も離れていて問題無いはずだ。」