瞳の奥

どれほど走ったのだろうか、最後はおそらく砂利道を走った後、クレーンみたいな音で下に降ろされて、また暫く走ると車が止まった。

「着きましたので目隠しを外されて頂きますね。」

「ありがとうございます。」

お礼を言うなり、車を降りると地下帝国みたいなところにいた。
私は謎にそのまま若いお兄さんの後についていく。暫く歩くて突き当たりにエレベーターがあり、そのままさらに下に降りる。

「着きました。こちらにボスがいます。」

エレベーターが開くなりそう言われたのは、エスカレーターの降り場前から既にドアがあったからだ。
若い男性はノックする。

「旭です。吉岡麗奈様をお連れ致しました。」

すると、ドアが勝手に開いた。
男性がそのまま部屋の奥まで進むと、動画で見た全身黒づくめの人が社長椅子と言ってもおかしくないような椅子に座っていた。

「ご苦労。下がって良いぞ。」

部下が部屋からいなくなったことを確認すると、今度はボスであろう方が壁に手のひらをつけると更に隠し扉が開いた。

「驚かせてすみません。ここは、アジトの物が出入りするため、セキュリティがしっかりしたプライベート部屋に案内させて頂きますね。」

そう言われるなり、奥に行くと様々な監視カメラ映像が出ている部屋に来た。

「準備している間、そこに座って頂けますか?」

私は言われるまま近くにあるフワフワな椅子に座った。
監視カメラ映像は凄く多く、いろいろと写し出されていた。
これは、ここのアジトだけではなく街中の映像もある?あれ、あそこに写ってるの蓮の車じゃない?あそこは、何処だろう?

ボスと呼ばれた方は部屋着と言うかラフな状態でお茶を持ってやって来た。


「そのままの意味ですよ。わたしと同じように別の人物が麗奈さんに気づかれないように見えないタイプの盗聴アプリを入れたのでしょう。」