瞳の奥

「まずは隼人。お前からちゃんと説明してやらないと。」

「そうだな。」

お兄ちゃんは私の頬に触れた。

「連絡しなくてごめんな。」

「そうだぞ。俺らはまだしも麗奈ちゃんにも連絡しなかったのは可哀想だろーが。」

その言葉で私は耳を疑った。

「晃輝くんも連絡取り合ってなかったの?」

補足するように、翔お兄ちゃんが説明してくれた。

「晃輝も俺も、麗奈ちゃんと一緒で今日、蓮から連絡来るまでは隼人がどこにいたか知らないんだよ。
ちなみに、この場所に集まるよう言ったのは蓮だけどね。」

再び、お兄ちゃんの方を向いた。

「蓮から何か聞いてる?」

ずいぶんと前に、蓮がアメリカの警察に入ったって言ってたような気はするけど、はっきりと覚えてる訳でも無いので知らないと答える。

「蓮だけには、そんなに頻繁に連絡取り合ってるの?」

「俺の大事な大切な妹を任せるんだからな。麗奈に何かあってからは遅いからね。
と言っても既に巻き込まれているんだよね。」

お兄ちゃんは意を決してそして、服の内ポケットから見慣れない紋章が印字されている手帳みたいなものを取り出した。
私だけではなく、晃輝くんも翔お兄ちゃんも見たことないものだったみたい。

「これは、FBI警察の物だと示すものだよ。日本の警察手帳みたいな感覚だと思ってくれたら良いよ。」

「「すげぇーー」」

「アメリカ連邦警察FBI捜査官は、アメリカ全土で起きた案件を全て受け持ったり、他国からアメリカに対しての犯罪を行ってるもの、他国へ逃亡しているもの全ての案件を取り扱っているんだ。
今日本に戻ってきてるのも、事件の捜査で来てることになってる。」

「だから、私達にも連絡出来なかったんだね。」

お兄ちゃんは、私を抱き締めた。
昔からお兄ちゃんも蓮も私を抱き締める癖があって、何かあるといつも抱き締めてくれるの。私はそれが好きだったりする。

「麗奈を抱き締めると癒されるな、やっぱり。」

「それで、なんでFBIに入ろうって思ったの?警察なら日本警察でも良いんじゃないの?」

「それは、蓮の提案なんだよ。」

今度は蓮を見る。が、後ろから抱き締められる形で座らされるだけだった。