思い出したいわけじゃない

あれから学校で会うと必ず声をかけてくれる。
たまにサークルに顔を出すとこっちにおいでと促してくれる。
気付けば好きになっていた、誰にも取られたくなくて仕方がなかった。

人の懐に入るのが上手な松村凛には自然と人が集まった。その中の一人にすぎない私なのにとひねくれてしまう。
でもやっぱりすこし特別なのかなと思ってしまうのは毎晩の通話のせい。

今日もまた寝る前に鳴る着信音、3コール目でやっとでる私。
ゲームもして最近ハマってることの話もした、ほぼ毎日話してるはずなのに飽きないのはきっと彼の声、そのものに惚れてるからで。
数時間経てば寝息が聞こえる、近くで聴こえるはずなのに遠くにいるそんな現実。
切ろうか迷ったけど切れなくて、寝落ち通話なんて柄にもなくしてしまった。


目を覚ますと充電が切れてて、少し寂しくなった。
充電が完了するまで顔洗って歯磨きをした
時計を見るといつもより早く起きたことが分かった。多分寝れてない、寝れないよね普通に。
でも寝不足とかどうでも良くて、スースーと寝息をたてる彼が可愛くてそれだけで今日も頑張ろうって思えた。

メイクをする前にスマホを確認すると新着メッセージが1件

"おはよ、切れててちょっと寂しかった〜"

期待するようなことを、送るな!

とか言っても本当は嬉しくてにやけてしまうわけで。

"おはよ〜、充電切れちゃってたごめんね..."

ああまた可愛くない、私も寂しかったよとか送った方が良かったかななんて考えながら支度をして家を出た。