Tear Flowers〜新しい道の始まり〜

結局フィオナは幼なじみの家族に引き取られ、あの広い屋敷で一人で暮らすことになった。あの頃のように屋敷に笑顔はなく、ただ色褪せた毎日が繰り返されていく。

そんな日々を過ごすうちにフィオナは十八歳になり、ミステリー小説家という職を手にした。そして、有名大学の受験にも合格し、オンラインコースで勉強もしている。

しかし、フィオナの心は色褪せたまま動かない。そんな日々が生きている間、永遠に繰り返されるのだ。

今日も、明日も、明後日も、ずっと……。



「ーーーオナ！フィオナ！」

フィオナは肩を叩かれ、ハッとして赤い瞳を開ける。そして何者かが肩に触れている手を思い切り掴み、誰なのかを振り向いて確かめる。

「フィオナ、痛いよ！」

痛い、と言いながらも金髪に青い瞳の整った顔立ちの青年はどこか優しそうに微笑んでいる。フィオナの幼なじみのエヴァン・カランコエだ。

「エヴァン、一体何をしに……？」

エヴァンの両親にフィオナは引き取られた。そのため、この屋敷の鍵を渡していつでも出入りができるようにしてある。