舌打ちをした後、私を上目に捕らえた瞳は険しくて。




私の知っている直哉の瞳ではなかった。




怖い、そう感じたけれど。




慣れ親しんだ手と舌の動きに、



抵抗の言葉を呑み込んだ。








胸元に点在するキスマークを上書きするように、




直哉の唇がそこへ、痛みを走らせる。




それが、甘い刺激に変わっていったけれど……









舌使いも、身体の線を確かめるように動く手も。




全てが淳平さんとは違っていて。





直哉がくれる甘い刺激はただ優しくて、




淳平さんの手によって激しくされたり、



優しくされたり、



その絶妙なバランスに甘い痺れを感じる身体に、



塗り替えられていて……




直哉がくれる刺激に物足りなさを感じてしまう。






「…気持ちよくないの?」










やっぱり切なくて。




首を横に振る。






「だったら…我慢するなよ。それとも、淳平さんに上書きされた身体は俺なんかじゃ…物足りない…?」






直哉なんか、ではないけれど。




物足りなさは否定できなくて、







「…っ…痛いっ…やめっ…て…」





そう、叫んでも直哉の瞳は嫉妬した男の瞳で。





指の動きを止めずに、





ついに、私の中に捩じ込んだ。






直哉が腰を動かす度に、



淳平さんの汗に濡れた綺麗な身体と、



乱れる妖艶な顔が何度も浮かんでは、消えていく。







結局、私は……絶頂を迎えことなかった。





舌打ちをした後、私を上目に捕らえた瞳は険しくて。




私の知っている直哉の瞳ではなかった。




怖い、そう感じたけれど。




慣れ親しんだ手と舌の動きに、抵抗の言葉を呑み込んだ。








胸元に点在するキスマークを上書きするように、直哉の唇がそこへ、痛みを走らせる。