「……零(れい)、また明日な！」

「うん。また明日」

俺は、高校の正門前で友達に手を振る。友達は、俺に手を振ると元気よく走り出した。

「……あいつ、いつも元気だな……」

そう呟いて、俺は友達が走って行った方向とは反対方向に歩き出す。

早く帰って、ゲーム進めないと……あ！教室に忘れもんした！！

教室にノートを忘れてることに気がついて、俺は教室に向かって走り出した。

あのノート、絶対に誰かに見せられない！あのノートには、俺が調べた怖い事件や話がいっぱい書かれているから。

急いで靴から上靴に履き替えて、教室に向かって走る。教室のドアを開けると、クラスメイトの千佳(ちか)と千佳の双子の妹の萌佳(もえか)が椅子に座っていた。

「……」

俺は、無言で自分の席に行くと机の中からノートを取り出す。

「それでね！魔法使いが現れて、魔法をかけるんだ！」

「……そんなお話なんだね。いいじゃん！面白そう」

「……魔法使い、か……俺、魔法使い好きだよ？」

俺がノートを片手にそう言うと、千佳は「ほんとに！？」と俺を見つめた。

「俺……ファンタジーが好きだから」

「そうなんだ！私、魔法使いになりたいんだ……空を飛んで、魔法を使いたいの！」