「とも…だち?」

「そう!えっと…サッカーとか興味あって!
香月くん上手だし、いろいろ話したいなぁと」

我ながら苦しい。

「へぇ、サッカー好きなんだ。」

「えっ、うん!」

意外と食いついてきてくれた!
やった!!
嘘だったけど。


「どっかのチームのファンなの?」

ヤバい。
チームなんて知らないよ…

「えっと…いろんなとこ応援するタイプで…」

「へぇ。」

「さっきの!
香月くんの部活も見てて楽しかったよ。」

「ハハ…っ、あんな基礎練よく楽しめるな。」


わ、笑った…!
やっぱりカッコいいんだな。

重ための二重で、普段は気力なく見える目が
笑うと細くなってなんか可愛い。

髪も染めてるけどチャラすぎず、
短く切ってあって爽やかだ。


これは…モテるだろうなぁ…


「うん。だから友達になってみたくて。」

「変なやつ。別にいいけど。」

「えっ、いいの!?」

「ああ。わざわざこんな呼び出しして頭下げなくても、教室で普通に話しかけてくれればよかったのに。」

「いやぁ、なかなか勇気が…」

「サッカー部の集団に呼び掛けといてよく言う。」


あ、また笑った。
なんだろ、からかったりするのが好きなのかな。

ちょっとSっぽい…?


「じゃあ帰るか。家どこ?」

「!!
N町!歩いてきてるの。」

「あ、方面一緒だわ。
待ってろ、チャリ取ってくる。」

「う、うん!!」


やったー!
第一関門突破だ!

今日から全力で香月くんを守るぞー!
おー!



自転車をとってきた香月くんは、
私の荷物もかごに乗せてくれた。

とりあえず私は車道側を歩く。

ちょいちょい香月くんが車道側にナチュラルに行こうとしてきてくれたけど、
私は気づかないふりをして車道側をゆずらなかった。


「ていうか…違うからよかったけど
女の子に呼び出されて、冗談で『告白?』とか
聞くのはやめた方がいいと思うよ。」

「いや、もじもじしてしゃべらないから。
一応気ぃ遣ったんだけど。」

「そ、そっか…」


夕焼けの伸びる中、私たちは並んで帰る。

今日初めてしゃべった友達。

ちょっとSっ気あるけど結構優しい
私が守る香月くんは意外といいやつ。