「「おつかれっしたーー!!」」


初日の練習が終わり、
また大きな挨拶にビクッとする。


「終わったぁ」

安心感と疲れがどっと押し寄せる。

「麻ちゃん、急いで!夕飯の準備!」

「へぇ!?」

さっき様子がおかしく見えたのは幻か、
東郷さんはバックにお花を散らしながら笑顔で
私に呼び掛けた。


駆け足で東郷さんのあとに続き、
40人分のご飯を次々盛っては運ぶ。


これ部員が自分でやるのじゃダメなの!?

みんなでやった方が早いじゃん!


声にならない文句を心に浮かべつつ、
部員が着替え終えて席につく頃には
すべてのお膳を整えることができた。


「「いただきまーす!!」」


いちいち声が大きいのも怖いし…。
疲れる…


「おい、麻。」

「へ…」

顔をあげると、目の前には香月くん。

「えっ、な…なんで…」

「大丈夫かよ。」

「大丈夫…だけど…」

1年生、いっぱいいるのに
わざわざ私の前に座ってくれた…。

「食わねぇの?」

「た、食べるし!」


私は勢いよくご飯を頬張った。

さっきまで疲れて食欲なかったのに、
口にいれたご飯は甘く広がった。


「おいしいね。」

「まぁ。」

「きょ、今日のゴール…「香月くん!おかわりは?」


私の言葉を遮ったのは、隣に座る東郷さんだった。

いや、私の間が悪かった。

周りに合わせなくちゃ…


「おかわりって…まだ早くね?」

「2年生はもう行ってるよ~。
ノルマ2杯おかわりだからね!」

「うえぇ…」

「の、ノルマって…ご飯でまでそんなのあるの?」

「もちろん!食べなきゃ筋肉つかないもん。」


まじか…
今日一日、カルチャーショックがすごすぎる。


「麻も食えよ。」

「えっ、マネージャーも!?」

「麻ちゃん、そんなわけ…「あたりまえだろ。"部員"なんだから。」

「ぶ、部員…!」


たった1日しか参加していないのに、
仲間として認められたみたいで嬉しかった。


「食べる!私やるよ!!」

「ちょ、麻ちゃん!?」


「プッ…」

「??何?香月くん。」

「…っ、なんでも…」


私は気合いをいれてご飯をパクパク食べ進めた。