恋歌-Renka-




「はあ?なんだそれ?」




案の定、花音からは
呆れた声が返ってきた




彼女は足を止めて





「二人とも、わざわざありがとう。じゃあまた明日な」





そう言った。





花音がいる少し奥に
視線をずらして




ここが花音ん家か。と
心の中で呟く




ん?




“吉野“




表札には確かに
そう書かれていた




疑問に思ったがあえて
触れずに「うん、またな」
とだけ返す




それに続いて今度は優樹が
「また明日」と手を振る。




その言葉を聞いて中に
入ろうとドアノブに手をかけるが





何か思いついたように
花音は家に入るのを中断して
バッと振り向くと



「明日頑張ろうなっ!」





そう言ってさっさと
家の中に入ってしまった。