「まあ、とりあえず自信持ってやりなよ。期待してるんだからさ。」
さっきの慌てていた様子が
まるで嘘かのように
真面目なトーンで
突然そんなことを言ってくる帝に
「ん、頑張る」
なんて……素直に返事をしてしまった。
「そろそろ、練習再開するよー!」
そうこうしてるうちに
坂梛さんが笑いながら
こっちに来てと手招きをする
私は小さく拳を握って
よしっ!と気合いを入れ
坂梛さんのもとへ向かった。
練習の再開だーーーー
頭の中で“自分は出来る“と
何回も唱える。
「じゃあいくよ!よーいスタートっ!」
心を落ち着かせて
精一杯走る事だけを考える
帝の期待に応えたい
私のために時間を費やして
くれた、みんなの期待に応えたい!
“9.38“
タイムがちょっと速くなってる!?
私は驚きのあまり、目を見開いて
タイマーを凝視していた……。

