案の定、彼は
“5.29“なんていう
もはや未知レベルの異様な
数字を叩き出す。
何こいつ?人間?
顔はイケメンだしモテるし
運動神経抜群だし
同じ人間かと
疑いたくなるほど完璧な彼………
悔しすぎる……
そしてやっぱりムカつく。
「まあ、こんなもんでしょ」
馬鹿にしたように嘲笑いながら
私の肩をポンポンと叩く。
うざい!うざい!うざい!
負けたくない!!!
私は敵対心からか
へとへとになるまで
走り続けた。
しかしタイムは一向に伸びず
体力が減ってくばかり。
も、もう走れない………
そう思った刹那
「ちょっと休憩しよっか」
と坂梛さんが言った。

