何故、泣いてるのかも
何故、抱き締められてるのかも
全然わからない




わからないよ、帝





もう、これ以上………
私の心を揺さぶらないでくれ



心が軋むたびに
過去が蘇って私を支配する。



なのに



それなのに




私は何故この腕を
振りほどけないのだろう?





道行く人達が私達に
視線を向けながら歩いている。





でも、そんなこと気にはならなくて




帝の胸に顔を埋めて
静かに泣き続けた。





泣き止んだ頃にはもう
日が沈み始めていて
時刻は午後18時を回っていた。