ほら見ろ。
たかだかこれだけの事なのに
女子の視線が凄く痛い。
自分が目立ってるってことを
少しは自覚して欲しい
もし………
“抱き締めた“
なんて口にしてたら………
私は考えたくもなくて
思いきり頭を振った。
「…………いっ!」
「……おいっ!」
帝の声にハッと我に返り
つかんでいた手を離した。
そしてキッと睨みつける。
「馬鹿かお前は!」
私の罵声に驚いて目を見開く。
でも私は止まらない
訳のわからない怒りを
彼にぶつける。
「少しは自分が目立ってる事に気づけよ!あんなに人がいる前で変なことを言うのもやめてくれ!」
私の怒鳴り声をただ
呆然と聞く彼………
「もう、関わらないでくれよ。お前と関わると面倒なことに巻き込まれかねない。」
私は徐々に声を小さくして
泣きそうな瞳で彼を睨む。
フワッ
ギュッ
「…………っっ!!」
いきなりの状況に
全然ついてけない
気づけば私は帝の腕の中にいて
強く強く抱き締められていた。
意味がわからない。
私の目から涙が溢れた。

