*遙編*



最愛の女性 帝 花音と
そんな花音の最愛の人
帝 涼太……2人の墓石の
前までやってきたーーー。



本当に悔やんでも悔やみきれない。



2人の人生を狂わせて
しまったことへの罪悪感が
拭えないまま……もう5年



俺は……27歳になった。



両手を合わせ瞑想する



2人の結婚式……
とても幸せそうだった。


異様的な2人の回復力を見て
このまま2人はずっと生きて
いけるんだ……と



だけど現実はそう甘くはなく
結局……2人はもう……。



苦しい……苦しいよ花音
ごめん……本当に……


愛してる……心の底から


はらりと1粒の涙がこぼれ落ちる



その時


「……佐久間さ、ん?」



控えめの小さな声で名前を呼ばれ
泣いてることも忘れて振り返る



だけどその先にいた人物は
そんな俺のことを見ても
慌てたりせず、ただじっと
見つめてくるので



「琴乃ちゃん」



俺は少しだけ微笑んでみせた。



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2人で墓参りを終えて
別の場所に移動する



「佐久間さんがお車じゃなくて良かったです……私の車、乗り心地はどうですか?」


「んー、最高。さすが名女医の乗る車は違うね」



俺がそう言ってからかうと
琴乃ちゃんは顔を真っ赤にして



「もー、からかわないでくださいよ」



と、困った顔をする。