※花音視点
ここはどこ?
夢?それとも天国?
歩いても歩いても
無機質で何も無い
空間が広がっていて
岩道の真ん中に
流れる川以外、何も存在しない。
昔よく汐莉おばさんが
言っていた……
人は死ぬ前に一度
生死の境目をさ迷うんだって。
そこは人によって様々で
花畑だったり無機質な空間だったり
そしてそこに流れる川の
向こう岸に渡ってしまうと
もう生きては戻れないと……。
それが三途の川
もし私が本当に
生死の境目にいるのならば
見えてきたーーーーー
川の向こう岸で
汐莉おばさんと
憎んでいたはずの
母が手招きをしている
「花音ごめんね………あの時あんなことをするつもりはなかったの。」
お母さん?
涙を溢しながら
話す母親
唇は動いてないのに
声だけが鮮明に
聞こえてくる
「本当は誰よりも一番、貴女を愛していた。なのに私の身勝手な理由で貴女を傷つけてごめんなさい。もう一度やり直そう?」
「花音………姉さんもそう言ってることだし、3人で仲良く暮らしましょう?」
汐莉おばさん…………
私はちゃんと愛されていた?
お母さんは私のこと
嫌いじゃなかった?
私も聞きたいこと
謝りたいこと
言いたいこと
いっぱいあるんだよ!
今そっちに行くからね………
川の中へと足を踏み込む。
その途中で
「行くな!!」
誰かの声がしたーーーーーー

