最終章 *恋歌-Renka-*




*遙 side*




こんなはずでは無かった……。
君を好きになる予定なんて
1ミリも無かったのに……。



俺と花音を乗せた救急車が
けたたましくサイレンを鳴らして
走り去って行く……。



思えば……俺の人生は本当
生まれた時から最悪だったーーーーーー。



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まだ、幼い赤ん坊の頃に
1枚の紙切れと一緒に
施設に捨てられていた俺



紙には"佐久間 遙"って名前と
日本とアメリカのハーフだって
ことしか書かれていなかった。



そのまま、その施設で育てられた俺



同じ孤児からのいじめや
施設の先生数人からの
虐待に耐えつつも



毎日口から出る言葉は



『死にたい』



それだけだったーーーーーー。



俺が小学校6年生になった時
施設に1人の男が現れた



それが花音の父親
霧山 孝だった。



養子として引き取りたいと
名乗り出したそいつは
財力もそこそこあるみたいで



なにより……こんな俺を
必要としてくれているんだ……と
死ぬほど嬉しい気持ちが溢れて



俺が中1に上がる頃
正式に養子として引き取られた。