「えーと……何だったかな?」



顎に手を置き
うーんと唸る親父





息子じゃないなら
心配する必要なんてないのに
心臓の鼓動が速くなるのは
何故なんだ…………





「あ、あれだ………佐久間くん。下の名前はわからん」





佐久間?
全然違うじゃねえか………
再び胸を撫で下ろす




「いくつなんだ?」





「22歳とか言ってたな」






「へえ、俺と同い年か。やるな、そいつ……」






「お前も名医目指して頑張れよ」





親父が意地悪く笑うから




「うるせえ」




つい素直じゃない返事を
してしまった………





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「先輩!大変です」





俺がいつものように
病院で仕事をしていると
琴乃が慌てた様子で
小走りにやってくる





この間も思ったけどさ……





「お前、廊下走んなよ。小学生だって走んねえぞ」






呆れ顔で琴乃を見つめる



しかし、琴乃は
そんなこと気にもとめずに



「そ、そんなことより先輩!」



彼女の顔が真剣な
面持ちに変わったーーー