「結構……有名な人だったんですよー!アメリカにも企業を展開したらしくて。名前は………えーっと、確か………」



「何だよ?」



「………何でしたっけ?」



「知るか!!」




まったく…
まあ、別にどーだって
いいけどさぁ…




「あっ!思い出しました!」



俺が呆れ顔をするのと同時に
琴乃がポンと手を叩く




「いいよ、別に…」



「霧山ですよ!霧山 孝さんっ!」



琴乃の言葉に
ドクンと心臓が跳ねる




霧山………




うちの親父が勤めてる
会社の社長が霧山 孝…………



それってもしかして…
いや、まさかな?



そんな偶然あるわけない。



霧山 孝の息子が
あの霧山 遙だなんて



あり得ないよな?




「先輩どうしたんですか?」




「え、いや、何でもない!!さ、これから仕事に戻るから、お前も帰れ」



「えっ!?もう、そんな時間ですか!?やばい!遅刻するっ」




俺の言葉に琴乃が
慌てて走り出す




「はあ、本当……元気だなアイツ」



俺は呆れ笑いを漏らし
職場へと戻った



ーーーーーーーー




仕事が終わって
帰宅した俺は
直ぐ様親父に
話かける………





「なあ、親父」




「お、何だ?」





「親父の会社の社長……亡くなったんだってな」





「あれ?知らなかったのか?ニュースでやってたろ?」





「最近、忙しくて…テレビ見てなかったから……」





「そうか。肺ガンで亡くなったそうだ」





「会社の経営、大丈夫なのかよ?」





「ああ、大丈夫だよ。社長の信頼できる部下が後を継ぐんだとさ……まだ若いのに偉いもんだ」





信頼できる部下か………
親父の言葉に
そっと胸を撫で下ろして





でも一応





「そいつの名前は?」





尋ねてみたーーーーーー