「ごめん……」





「そうですか…なら今までで通り仲の良い先輩後輩でいましょう。」





悲しげに呟く琴乃に
ただ頷くことだけしか
出来なかったーーーーー





ーーーーーーーーーー





琴乃を途中まで
送り届けてから
自宅へと戻る………





本当は家まで
送ろうとしたんだけど





一人になりたいって
言うから途中で
バイバイした




「はぁあああああっ」




自室で盛大な溜め息を吐く




俺って実は
バカなのかもしれない




こんなに自分のことを
想ってくれている子が
いるのに




どうしても花音じゃなきゃ
ダメだなんて……





なんか人生
損してる気分。




花音………
日本に帰ってきたのに
どうして俺のもとへ
戻ってきてくれないんだよ




やっぱりもう…………
あいつと結婚してるのか?





でも、もしそうだとしても
自分のこの目で確認しなきゃ
真実なんてわからないし
納得もできない………





日本………いや東京に
いることは間違いない




歌手をしているなら
都会に住んでいる可能性が高い





なら、かつて俺が
宛もなく数ある柔道場を
探し回った時のように




今度は芸能事務所を
探し回ろう………




例え花音が霧山と
結婚していたとしても………




その理由を彼女本人の口から
聞きたい…………




じゃなきゃ俺も前に進めない……。




「なあ、ペアリング………もう一度チャンスをくれ。次は絶対に自分の傍から離れさせたりしないから。」





もう一度………




好きだと……
愛してると伝える
チャンスをくださいーーーーー。