恋歌-Renka-




「もうー、私は用がないと先輩に会いに来ちゃいけないんですか?」




膨れっ面をする琴乃




「誰もそんなこと言ってないだろ」





俺が琴乃の頭を撫でてやると
満足そうに笑ってほんのり
顔を赤く染める………





そろそろ気づいてない
フリするのも難しく
なってきたな………





琴乃は明らかに
俺に好意の眼差しを
向けている





今まで琴乃の告白を
尽く避けてきた俺。





もう…………
あいつは帰ってこない




ふとそんな考えが
頭の中を過る




そろそろ琴乃の
気持ちにも答えて
やらないとな………





恋愛感情ではないけど
琴乃の事は好きだし。





「先輩、それ何ですか?」





「あ………何でもねえよ」





やばい、しまい忘れてた!!
俺は中身を見られないうちに
カバンの中にケースを突っ込む




あ、琴乃の顔が
ちょっと歪んだ




「そ、そうですか………じゃあ、先輩一緒に帰りましょっ!」





しかしそれは一瞬で
すぐに笑顔に戻ると
俺の腕を引いて歩き出した。





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「てか、お前……講義どうしたんだよ?」





「今日はもう終了ですっ!先輩も………ですよね?」





と悪戯に笑う





こ、こいつ………
俺の講義の時間まで
把握してやがるのかww





「ということで先輩っ!ランチ行きましょっ!!」





「いや、俺は……」





「ほら、行きましょうよっ!」





ああ、もうダメだこりゃ
俺は小さな溜め息をついて
仕方なく琴乃に着いていく。