「……え、花音?」



私から抱きしめられたのが
想定外だとでもいうように
驚きの声を隠さない霧山




「わかるよ………私は実の母親に殺されかけたからな」




そんな彼に私は
優しく話しかける。




顔は見えないし
彼が今何を思っているのか
全く分からないけれど




帝が私を変えてくれたように




私と似たような黒い闇を抱えるこいつを
どうにか救ってやりたいーーーーー。




「でも、そんな私でも変われたんだ………だからきっとお前も……」





「もういいよ………黙って。俺には花音さえいればそれでいい。」





私の言葉を遮って強く抱きしめたあと
再び私を押し倒して唇にキスを落とす……。





それは乱暴で激しくて
涼太とは違ったキス




ただ私は……
涼太にこんなとこ見られたら
最悪だな……とか


涼太と離れたくないな……とか



みんなと毎日を楽しく
過ごしていたかったな……とか




そんなことを漠然と考える。




でも涼太や汐莉おばさん
萌奈、美保、蒼、西谷
私の大切な人達みんなを
守ることができるなら……



霧山にキスをされながら
私は一世一代の決意を
胸に秘めたのだったーーーーー