歳三さんの死からすぐには戻らずに。





遺体を小芝長之助という探索役主任の方に引き取られて行くのを、




見届けて。






降伏の決まった陣中で。




私は…大鳥さんに呼ばれた。








「いつ…君の時代に帰るんだい?」






思いも寄らない言葉に目を見開いていた。





「聞いたんだ、土方くんから。君が未来から来た子だってね。」






「そうですか…もう、帰るつもりです。大鳥さんにも、お世話になりました。ありがとうございました。」






頭を深々と下げると、私の肩に手が触れた。






「顔を上げて。御礼を言わなきゃいけないのは、僕の方だよ。血生臭い所で、怪我人の世話や手当をしてくれたり。皆のために、温かい御飯を作ってくれたり。本当によく働いてくれた。感謝してるよ、ありがとう。」






その言葉を聞きながら、滲んでいく視界、ポタポタ落ちる雫で…




泣いてるんだって気付いた。






涙を拭って、顔を上げて。






「お役に立てたみたいで…嬉しいです。最後に、大鳥さんにお願いがあります。」






そう、伝えると……






「お願い?君に対する御礼だと思って、僕に出来る事なら何でも聞くよ。」






と、ほんわかな笑顔をくれた。






「ありがとうございます、これを歳三さんの遺体を埋葬する時に一緒に入れて下さい。」






もともとお願いするつもりで握り締めていた、結い紐を差し出した。