「…笑え…って…言っ…た…だろ…う…」






大きな手を目一杯に伸ばして、頬の涙を拭ってくれたから。





涙を堪えて、笑みを作った。






「それ…で…いい…。月香……約束…覚え…てる…か?俺は……かなら…ず…まも…る…」







「はい、ちゃんと覚えています。未来で歳三さんを待ってますよ。」







「ああ……俺の……死は…別れ…ではない…また…未…来での…俺…たち…のはじ…まり…だ…」







「…はい…今すぐ…手当てを…」






出血の酷い腹部に当てていた手を離そうとすると、





その手に、歳三さんの血だらけの手が重ねられた。








「……もう……無駄……だ……」






「ですが……まだ、助かります…きっと…」






「……一目…月香に…逢い…たか…った…から…もう…充分…だ…」







「…わかりました、わかりましたから…もう何も話さないで下さい。」








「…いや…最後…に…これ…だけは…言わ…せて…くれ…。愛し…てるぜ…月…香…」







「私も…愛してますよ、歳三さん…」







満足そうに微笑んで…一瞬だけ重ねらた手に力が込められたから、






歳三さんの唇に、唇を重ねると隙間から少しだけ吐息が漏れた。







もう一度、重ねると……重ねられた反対側の右手の指先で、





頬を撫でてくれたと思ったら滑り落ちたから、





唇を離して、首筋に手を当てたけれど……





もう、歳三さんの脈は触れなかった。






愛しい身体を力いっぱい掻き抱いて……






「歳三さん…ありがとう…ございました。貴方を信じて…います。必ず…逢いましょうね…」







耳に唇を寄せて、伝えた。




答えをもうくれない唇に、最後のキスを落とした。