「土方さん…月香です。少しよろしいですか?」






「月香か…入っていいぞ。」






襖を開けると、文机に向かって何かを書いていた。





「お邪魔でしたか?」





「いや…大丈夫だから、入れよ。寒いだろ?」





はい。と頷いて、部屋に入って襖を締めた途端に手を引かれて。





私の身体は、すっぽりと……土方さんの腕の中に収まっていた。





「土方さん……」





「暫くでいい…このまま…」





きっと、辛いんだ。



辛くて辛くて……堪らないんだ。





私も、土方さんの背中に腕を回して。




力を込めれば、痛いくらいの力が込められた。







「月香……俺は……大切な仲間を……殺めちまった…」





震える声、震える身体。




背中を擦りながら、





「山南さんは…土方さんを好きだと言っていました。」






「…っ…そうか…こんな俺を好きだと…」





「はい。悔いはないと言っていました。」






「…悔いはないと?」





「はい、はっきりとは言いませんでしたが…皆さんに会えた事、ここまで志を共にして来れた日々を悔いてない。という事だと思います。」






「…そうか…山南さん…らしいな…」






呟いた土方さんの声は、やっぱり震えていて。




背中を擦ると、私の身体を少し離して。




「ありがとう。」





耳元に、低い声が響いた瞬間にーーー、




土方さんの唇が、私の唇に重なった。