下弦の月

「新人2人の教育をお前らがしてんだから仕方ないって…我慢してた。」






そういう事だったんだ。



私に要らぬ感情を与えないためにって。







「惚れた理由、知りたがってただろ?だから…嫉妬して…かなり惚れてんだなって思い知らされて、あいつらの前で口にしたんだ。」






かなり、俺は…どうしようもないくらい…






「お前に惚れてる。俺と結婚してくれるか?」






腕を緩められて、見上げた先にある大好きな瞳。




その瞳に、




「はい、柊輔さんのお嫁さんになります。」






返事をして、



ずっと……この人の側に居ようと誓った。







そして、





左手を取って、薬指にダイヤのリングを嵌めてくれて。




その指に、唇を落として。






「今度こそ、幸せにする。」





歳三さんがのり移ったみたいな、声の響きでゾクッと身体が震えた。






見上げた瞳から流れた落ちた涙を唇で掬われて、





唇と唇が重なった。








「月香…愛してる…」






キスの合間、




呟かれた“愛してる”は、




今までの“愛してる”の中で一番嬉しくて。





唇を寄せると、甘い痺れるようなキスをくれた。









散り際の桜が、ヒラヒラヒラヒラと……




祝福してくれているように、




私達に舞い落ちていた。













☆END☆