頭の上でひとつに掴んでいる反対の手は、



スカートの中からキャミソールとカットソーを引き出して、




下着の上から胸を触られて、離された唇が首元に移動した時、





「柊輔さん…」




心で叫び続けていた名前が口から溢れて、




堪えていた雫が耳に流れ落ちた。





「その男は誰だ?」




厭らしい目付きで、そう呟いた院長の顔が気持ち悪くて。



ギュッと目を閉じると、





「ああ…君の上司か?名前を言ったってことは、君の恋人なのか?」








思い出したのか、院長がそう口にした時ーーー、




襖が開く音と同時に、





「そうだ!月香は俺の部下で俺の女だよ!」





聞き慣れた低い声より更に低い声が耳に響いて、




ゆっくり目を開ると、




院長の身体を、私から引き離した部長が立っていた。





乱暴に私の腕を掴んで立ち上がらせてくれて、




よろけた身体を抱き止めて、片腕で、強く自分の胸に引き寄せられた。








「その女を渡さなければ、契約は切るぞ?僕の病院との契約を失ったら痛手だろ?」





立ち上がりながら言った院長に対して、






「確かに痛手だが…自分の大切な女を渡すくらいなら、こっちから切ってやるよ!」





怒りを抑えているような震える声で、



きっぱり言い切られた院長は、驚いた顔をしている。