「おい!千秋を離せよ!俺はまだ…」



「行くぞ千秋」



刹那の言葉を無視して
私を連れて走り出す



「ちょ、ちょっと!待ってよ!」



私の静止も虚しく
刹那から離れた場所へ
半ば引きずるように
連れていかれる



ほんと、信じらんない!
浴衣に下駄で走りにくいのに



なんなの!?



あまりの自分勝手さに
イライラする気持ちが
止まらない



そう思ったら



「いい加減にしてよ!!」



大声で叫んでいたーーーーー


驚いたのか目を見開いて
立ち止まり私を凝視する



「いつもいつもなんなの!?」



でも私の怒りは収まらない



「自分勝手なことばかりして、好きでもないくせに嫉妬みたいな発言しないでよ!!好きでもないくせに期待するようなことばっか言わないで!!」



パァンッ



大きな花火が空一面を覆う



楽しいはずの花火大会が
全然楽しくない



涙でぐしゃぐしゃになった顔で
何度も綺羅の胸を叩く



「好きでもないくせに…キスしたり抱きしめたりしないでよ…!」




ギュッ



「ごめん」



ふいに抱きしめられ
謝られる…



ごめんって何が?
好きでもないのに
期待させてごめん?



抱きしめたりキスしたりしてごめん?



何も言わなくなった私を
よりいっそう強く抱きしめる



だからそれだって…
溢れ出る涙は止まらない


もう放っておいてよーーーーーー。