10話 *約束しちゃいました*




「はぁ…」


ドライヤーを手にしたまま
髪を乾かすより先にため息が漏れる



一体何だったんだ…
いきなり現れた先輩に
会って2週間で結婚してって…



私、夢でも見てたのかな?



コンコン


「失礼します、千秋様」



私が今日の放課後の出来事を
思い出していると



不意にドアをノックする音が聞こえ
ガチャリと綺羅が入ってきた




「あ、綺羅…」



「千秋様、何をしてらっしゃるんですか?髪乾かさないと風邪引きますよ?」



ポケーっとした顔で綺羅をみると
綺羅は訝しげな顔して私に近づく



「あ、うん、ごめん!髪乾かさなきゃね!」



私が慌ててドライヤーのスイッチを
入れようとすると



「待ってください。」



綺羅がそれを止めた。
不思議に思い首を傾げると



綺羅は至って無表情で


「私がやります」


ドライヤーを私から奪ったーーーーー



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部屋には無機質なドライヤーの音が
響くだけで会話は無し



綺羅が優しく私の髪に触れながら
丁寧にドライヤーをかけていく



けど、私はその間ずっと
放課後の先輩のことで
頭がいっぱいだった



「千秋様…何かありましたか?」



「へ!?」



突然、後ろから声がして
思わず間抜けな声が漏れたーーー。