「あっ、流れ星!研二、今さっき流れ星が見えたわ!お願い事しないと」

泣きそうになる俺の横で、ナタリーは空を見上げてはしゃぐ。空をゆっくりと見れば、漆黒の夜空を放たれた弓矢のような速さで星が流れていく。その光景は、心の痛みを一瞬忘れてしまいほど特別で美しい。

「綺麗だな……」

ナタリーが俺に振り向いてくれますように、そんなお願い事をしようとした刹那に流れ星は消えていってしまう。

そして、流星群を見に行った一週間後、渉に「相談がある」と呼び出されて言われたのだ。

「俺、ナタリーのことが好きだ」



それから俺は、ナタリーのことが好きなのに二人から恋の相談役として相談されることが多くなった。二人は両片想いだっていうのに、告白をしようとしない。

「何で告白しないんだよ?」

そう訊いた時、渉もナタリーも寂しそうな目をしてこう答えた。

「俺じゃ」

「あたしじゃ」

「「あの人に相応しくないから」」