「眠い……」


ルナは先日の手紙が原因で連日寝不足だった。

事前の情報では確かにこの町に居るはずなのに、天使の姿は見つからない。

このまま自分は殺されてしまうのだろうか。


「何浮かない顔してるんだよ、ルナ」


景太がルナの頭を小突いた。


「修学旅行の真っ最中だろ?そんな顔してたらつまんないぞ」


景太の言う通り、ルナ達は京都へ向かう新幹線の中だった。


「うん……ちょっと寝不足で……」


「楽しみで眠れなかったのか?ルナもまだまだ子どもだな」


(そういうことじゃないんだけどな……)


ルナは苦笑いした。


「花里、黒崎、トランプやろーぜ」


「おう。いいぞ。」


後ろの席の、同じサッカー部員から声をかけられて、ルナ達は席を反対向きにする。


「渡辺、カード切って」


「ああ、任せな!」


渡辺がカードを切り、全員に配る。じゃんけんの結果、ルナは一番最後の番だった。


「鳴海からな」


「あいよー」


鳴海がカードを取り、ペアになったカードを捨てる。


「次渡辺な」


渡辺も同様にカードを取り、ペアを捨てる。


「次、花里だぞ」


「おう」


景太も同じ手順でカードを取り…



ガクン



ルナは眠気に負けて眠り込んでしまった。

バサバサと手札が床に落ちる。その中にはジョーカーもあった。


「うお!大丈夫か黒崎!?」


渡辺と鳴海は驚いた様子でルナを見た。


「なんか寝不足だったらしい」


カードを拾いながら、景太は言った。


「寝かせといてやろうぜ」


「それもそうだな」


「気を取り直して……ババ抜き再開だ!」


3人がババ抜きをする傍らで、ルナはすやすやと寝息を立てていた。