* * *

今日はいよいよ花火大会の日だ。

ルナはヨルと一緒に待ち合わせ場所に向かった。


「あ、ルナとヨルだ」


「こっちだよ!」


景太と百合が手を振っているのが見えた。


「景太、雨宮さん!久しぶり」


「久しぶりだな。終業式以来か?」


「そうだね……ところで、関東予選は?」


「勿論優勝してきたぞ。しかも無失点」


景太は得意げにVサインを見せた。


「これでルナと全国行けるな」


「うん。優勝おめでとう!」


そう言ってルナと景太はグータッチした。


「雨宮さんも、マネージャーおつかれさま」


「ありがとう黒崎君」


百合も微笑んだ。


「……ねぇ、お嬢さんは?」


ヨルの言葉を聞いて、ルナは辺りを見渡した。


「藤堂さん、まだ来てないみたいだね……」


「ルナ君、みんな!」


声がする方を見ると、浴衣に着飾った菫がこちらに駆けて来ていた。


「お待たせいたしました……!」


息を切らせて駆け寄った菫の姿は、いつにも増して上品で美しかった。


「お嬢さん!浴衣凄く似合ってるね!」


ヨルは菫を見るなり目を輝かせて言った。


「ありがとうヨル君」


菫はそう言って微笑むと、ルナをじっと見つめて言った。


「ルナ君……私の浴衣、どうかしら」


ルナは菫に笑いかけながら言った。


「凄く似合ってる。綺麗だよ、藤堂さん」


「……えへへ」


菫は幸せそうに照れ笑いした。


「……よし。全員揃ったな」


景太の言葉に、ルナは再度辺りを見渡した。

まだハルが来ていなかった。


「あの、ハルは……?」


「ああ、病院で弟と見るって」


「そ、そっか……」


ハルに会えないと分かった途端、何となく気持ちが沈んでしまう。ルナは自分のこの気持ちが理解できなかった。


(今日会えないだけで、何でこんなに……)


「ほら、花火も始まってしまうし、早く屋台に行きましょう」


菫に促されて、僕は頷いた。


(折角の花火大会だ。楽しまなきゃ)