* * *

勉強会当日の土曜日、ルナはハルとの待ち合わせ場所に向かった。

季節はすっかり夏。少し歩いただけでシャツが汗ばむ。
 

(暑いな……)


20分歩いてようやく病院へ着くと、少しお洒落なワンピースに身を纏ったハルが手を振っていた。


(綺麗だな……)


ルナがハルに見とれていると、ハルはこちらに駆け寄ってきた。


「ルナ!」


「ハ、ハル……!」

 
ハルは、緊張しているルナに向かって明るい笑顔を見せた。


「おはよう。みんな待たせてるだろうし、早く勉強会に行こう」


ハルの言葉にルナははっとした。
 

(そうだ。今日は勉強会……うかうかしてちゃ駄目だ!)


ルナは自分の両頬をパシンと叩いた。


「うわっ!急にどうしたの?」


「……ちょっと気合い入れてて」


慌てて誤魔化すルナにハルは微笑んだ。


「じゃあ、ボクも真似しようかな」


するとハルはルナと同じように自分の両頬を叩いた。そのせいか、暑さのせいか、色白な肌は少し赤みを帯びている。  

 
「……よし。一緒に勉強頑張ろうね」


そう言って笑うハルの笑顔に吸い込まれそうになりながらも、ルナはしっかりと頷いた。