＊　＊　＊

翔北高校は順調に勝ち進み、遂に決勝戦を迎えていた。

前半0-0。後半も残り5分を切った。


「黒崎！」


ルナは味方からパスをもらい、前線に出た。

相手のディフェンスをかわす。春休みからずっと練習してきたリベロの動きを、完璧にこなして見せた。

相手のゴール前に出る。

もうすぐ後半が終わろうとしていた。これが最後のシュートだ。


「いけ！黒崎！」


「打て！」


ルナは味方からの声援を受けて、渾身のシュートを放った。


ボールはキーパーの手をぎりぎりでかわし、ゴールラインを割った。


ピー！


得点のホイッスルが鳴る。


そして、間髪入れずに試合終了のホイッスルが鳴り響いた。


「勝った……？」


「勝ったぞ……！」


「翔北の優勝だ！！」


「よくやったぞ黒崎！」


「やったな黒崎！」


ルナは仲間にもみくちゃにされた。


「ルナ！」


ゴールから景太が走ってきた。


「やったな！流石俺の親友だ！！」


「景太だって、無失点だったじゃないか」


ルナは照れ笑いしながら、景太とグータッチを交わした。

ベンチの方を見ると、監督と百合が微笑みながら拍手を送っている。

スタジアム中が、拍手喝采で包まれていた。


（優勝したんだ。僕達……）


ルナはスタジアムの空を仰いだ。

綺麗な冬晴れだった。