花衣に向ける凌の愛おしそうな視線は、間違いなく、誰もが分かるほど、恋をしているものだった。

だけど、肝心な花衣は、全く気づいていなくて。

でも、きっと凌は、そんなところも全部ひっくるめて好きになったんだろうな……。

凌が選んだ女だ。もちろん、性格も容姿もずば抜けてよかった。

むしろ、こんなにも全てが美しい人間がいるのかと、目を疑ったほど。

いつかの、夜だったな……たまたま歩いていたところで、花衣とばったり会ったのは、、

誰かに怪我をさせられたなんて、凌が知ったら、大変なことになるだろうな。って、思ったけど、花衣に黙っててほしいと言われたのもあって、俺は結局そのことを誰にも言わなかった。

「困ったら言うんだぞ?」

そんな言葉に頷いてくれた花衣なら、きっと、
何かあったら言ってくれると思っていたから。

俺が、あの時、凌にそのことを言っていたら、もしかしたら、こんなことには、ならなかったのかもしれない。

後悔しか、今の俺の中には、なかった。