6 (好きと嫉妬)
[凌side]

自分の部屋へ戻ると、俺は、ベットに体をなげた。

「はぁ、俺は、何やってんだ…」

手を目元にもってくる。

「好きな人…ね…彼女なんて、いるわけないだろ…。」



『凌さんは、彼女さんが、きっと、作ってくれますよ……』


フラッシュバックするさっきの佑香の言葉。

俺が彼女にしたいのは、佑香だけなのに…

…風呂入って、寝よ。今日は、黎もいないし、

ため息をつきながら、部屋を出ると、ばったり佑香とはち合わせてしまった。

「あ…」

なんともいえない、困ったような表情を浮かべている佑香に罪悪感が湧き上がってくる。
何もいえない。

「……」

何も言わず、ただ佑香の横を通り抜けて、風呂場に向かった。

先に歯を磨いて、口の中を綺麗にしてから、風呂に入った。


風呂から出て、部屋へ戻ると、部屋のドアにメモのようなものが、はってあった。

『凌さん、凌さんの気にさわることを言ってしまって、ごめんなさい。凌さんと普通に話したいです。 花衣』

その文面から、佑香の切実な願いが感じられた。それと同時に自分が情けなくて仕方なかった。

メモをはがして、俺は佑香の部屋のドアをノックした。

「は、はい。」

ドアが開いて、佑香が顔を覗かした時、俺は耐えられなくなって佑香を抱きしめた。

「へっ!?り、凌さん、?」

「ごめん。こんなやつ嫌だよな。」

「え?」

「、、ただ、俺は、佑香が許嫁で良かった。」

俺の言葉に佑香は、少し黙ってから、俺の背中に手をまわして、俺を抱きしめかえしてくれた。