総長様の溺愛は、甘すぎます。

「佑香…?」

「1回、ごめんなさい。凌さん、」

もう片方の、凌さんと繋がれていない方の手でそっと、凌さんの手を私の手からはなした。

彼の元へ駆け寄る。

「すみません!大丈夫ですか!?」

「佑香、そいつに構わなくていい。」

凌さんは、そう言うけど、でもっ、すごく痛そうだし…

「いいよ、」

そう思っていたら、彼がぼそっと小さな声をもらした。

「え?」

「文月 凌、佑香は俺がもらう。お前には渡さない。」

何を言ったのかと思ったら、私にはよく分からないような意味の言葉、

私をもらう…?どうゆうこと…?なんのために? 疑問しかない。

「勝手に言っとけ。」

凌さんは、ただそれだけ吐き捨てると、今度こそ、私の手をとって、歩き出した。

「佑香、ずっと昼、あいつに絡まれてたのか?」

「違いますよ!その、私、迷っちゃって、階段から落ちそうになった所を助けてもらったんです。」

「そうだったのか…」

凌さんは、全てを理解したというような表情を見せる。

「、でも、どっちにしろ、もうあいつには関わらない方がいい。」

その声色から、私には、凌さんがどれだけ心配してくれているのかが、よく分かった。