総長様の溺愛は、甘すぎます。

フルフルと首を横に振る。

私はお礼なんか言われる人間じゃない。

「良い?凌、佑香ちゃんを傷つけたら絶対に許さないからね。」

美しい声は鋭く凌くんに向けられた。

「当たり前だろ。俺だって佑香を傷つけるやつなんていたら、地獄に突き落としてやる。」

わぁ……凌くんの目からして、本当にやっちゃいそう……。

怖いよ?凌くん…。

「うん。分かってる。凌だから佑香ちゃんを託したんだもの。」

凌くんのお母さんはまたおちゃめに笑うと、温かい手で私の手を握った。

「急かしてごめんね。いつでも待ってるから、そしたら…私の "娘" になってね。」

「は、いっ、!」

涙が1粒、ポロリと流れた。

でも、それは温かくて、大切な涙だった。