凌さんは少しすると、私の視線に気づいて、今度はもっともっと甘く笑った。

「ん?」

って…

「い、いえ!何でもないです…。」

「……佑香何で今日そんなに可愛い格好してんの。」

「……」

素直に言ったら、凌さんは何て言うのかな…。さっきみたいにからかう…?

そう思ってしまうと、何も言えなくて、私は視線を逸らした。

「変な虫つくから、今日は絶対俺から離れんなよ。」

「虫…?…虫…来たら守ってくれますか…?」

虫って……秋でも結構いるのかな…。

「そもそも近寄らせないだろ。佑香が思ってんのと違うだろうけど。」

「…??」

首を傾げると、凌さんは繋いだ手にぎゅっと力を込めた。