佑香は今までずっと1人だったのか…?

「花衣様はお父様もお母様も亡くされて、かなり苦しんだことでしょうから。」

そうか…。きっと、俺には理解しようとしても、しきれない苦しみ。

俺だって、突然目の前から佑香が消えたら、人生のどん底へ突き落とされる。

だから誓う。もう2度と佑香の大切なものは失わせない。

俺はいつだって、佑香の元へ帰ってくる。


─さて、俺も風呂入るか。

ササッと入って、軽くドライヤーをしてから戻ってくると、リビングでは佑香と黎が笑いあっていた。

「あ!凌さんっ、」

俺に気づいた佑香は子供のようにかけてきて、
俺の前で手のひらを広げた。

「凌さん、これ凌さんに…。」