ご飯を食べ終わって、歯磨きをすると、私は凌さんに声をかけられた。

「佑香…部屋教えて、」

「え?あ、えっ〜と、どこでしたっけ…」

「え?まさか、覚えてない?」

「ごめんなさい…方向音痴で…」

「じゃあ、周りに何があった?」

周り…記憶を巡らせて、考える。
あっ!そうだっ!!

「オルゴールが聴こえました…」

「隣の部屋から…」

「あぁ……あそこか…」

「こっち。」

「はいっ!ありがとうございます。」

あれ?凌さん、足はやい、歩幅が大きいのか、追いつけない…

「ま、待って、くだ… キャッ!!」

ドサッ!思いっきり、こけてしまった。

「いたっ…」

「佑香っ!?大丈夫か?俺、はやかったか…悪い。」

「大丈夫です…すみません。」

凌さんが、差し伸べてくれた手をとって立ち上がる。私って…馬鹿だなぁ ドジだし…もう、本当…

「佑香?なんで、涙目なんだ、そんなに痛かったか?」

「いえ、」

笑顔を思いっきり貼り付ける。

すると、凌さんにいきなり、頬を引っ張られた。

「いたっ…」

「そんな無理やりな笑顔は…俺、見たくない。」

「ごめんなさい。」

「はぁ…もう、可愛い…」

「えっ?」

「可愛くない……わ…けないよな…」

呟いた凌さんの言葉は、最後まで聞こえなかった。
まぁ…確かに私は可愛くないけど…改まって言われると…傷つくなぁ…