14 (甘すぎる天使)
[凌side]

佑香の一言で、俺は本気を出すこと決めた。
もう、譲らない。

こんなに小さい手を、絶対に離さない。

「なかなかないですね…。やっぱり、さっきのは奇跡だったのかな…」

悲しそうな表情を浮かべる佑香の背中に、ヤドカリが付いてるのが見えた。

「佑香、止まって。」

「は、い?」

可愛らしく首を傾げる佑香に心臓をえぐられそうになる。

「カニついてる、」

そう告げた途端、佑香の顔からは光が消えた。

「きゃっ!や、だっ!」

焦ったのか、慌てて羽織っていたものを脱いだ佑香。

俺は、それを受け取って、素早くカニをとって、砂浜に戻した。

「佑香、だいじょ…」

もう、心配しなくていい、そう伝えようとした瞬間、佑香は涙目で、俺に抱きついてきた。