連れてきて、良かった。
「んふー、幸せです。」
「アハハ、本当に幸せそう。 連れて来れて良かった。」
「お菓子作りを趣味としたただの素人ですが、見ているだけで勉強になります。
でも食べたらもっと幸せな気分になるというのですから、お菓子は罪なものですね。
今日は自分をとことん甘やかしてスイーツを堪能しようと思っていましたが、このカロリーをどう消費しようか悩みます」
「いいのにさ、少しくらいぽっちゃりしてても……城田さんは城田さんなんだから」
「それは嫌です」
慰めでもなく本気で思っていたんだ。 けれども彼女はきっぱりと俺の言葉を否定した。
大人しく真面目でもじもじしているように思えるけれど、彼女はすごく意思が強い人なのかもしれない。
自分が決めたことは曲げない。 そういえばルナもおっとりしているように見えて、頑固な所があった子だ。
こちらを振り向いた城田さんは、真っ直ぐな瞳を向けて俺の顔を見てハッキリと言った。



