海とは違い、自分はつまらない男なのだと思う。
真面目過ぎる程真面目で、冗談の一つも通じない男。
付き合った女性を楽しませる術も知らない。 そんな俺の密やかな休日の楽しみは手作りスイーツ作りだった。
昔はよくルナと一緒に手作りのスイーツを作ったものだ。 しかし世間一般的には気持ち悪い男の部類に含まれるのかもしれない。 中々人の前で自分の本質を出せずに居た。
「つーか待ち合わせに遅れちゃう…! 」
「おう、早くいってあげなよ。 またレナを怒らせちゃうぞー?」
立ち上がった海は犬のような人懐っこい笑みを浮かべる。
レナが海に惚れた理由も何となく分かる。 二人をめぐり合わせた日から、いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていた。
「つか、ほっくんも来ればいいのに」
「いやいやさすがに付き合い始めたばかりの二人の邪魔は出来ないでしょう?」
「でもほっくんが来たらレナちゃんだって嬉しいと思うし…」



