「うるさいよぉ~、高橋くん。
俺の婚約者は別に無理なダイエットで痩せてるわけでも男ウケを狙ってるわけじゃないの~。
むしろ全然太らなくって貧乳なのを気にしてる可愛い子なのだよ。
それにスタイルとか顔で彼女を選んだわけじゃねぇー。
それより何下らない話してんのさ、つーか君達青柳さんばっかり構いすぎ。散った散った」

さらりと話題を変えて空気さえも変えて行ってしまう人。
北斗さんと仲が良いのは知っていた。 社内でも彼は有名人だ。

異例の抜擢で社長室に行った彼は、周りから好かれて嫌な空気を一掃してしまう。
彼が間に入って来た事によって話題も変わって、思わず安堵の息が漏れる。

青柳さんはバツの悪そうな顔をして相馬さんを見つめていたけれど、そんな視線はお構いなしだ。
くるりと反対方向を向いて、別の男性と話を始めた。

「ありがとうございます…」

「いえいえ、全然困ってたでしょう? ここに来てる奴ら俺の大学時代の友達なんだけど、デリカシーのない男が多いから。
悪い奴らじゃないんだけど、本当にごめんね?」