この家はいつだって片付けられていて、花が飾られている。  母の両親の生きていた頃の写真と
そして俺の成長の記録が、綺麗な写真立てに収められている。   母は、ずっと幸せに生きて来たのだ。

ソファーに寄りかかって、この家を包み込む温かい空気に触れる。 その温かい空気は城田さんと一緒に過ごす時間に似ている。

だから俺は城田さんを選んだんだ。 すとんと腑に落ちた。

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キッチンに立ち、母と城田さんが笑いながら食器を洗っている。

父が上機嫌で出した極上のワインは既に空っぽになっていた。  しかし城田さんはお酒が強い。両親に相当飲まされたけれどけろりとしていた。

酔っぱらっていたのは、父の方だった。

「北斗はいい子を選んだなあー」

「まあね。」

「色々あって心配していたが、香ちゃんのような子が側にいてくれて安心したよ。
しかしお前は美人系よりも可愛い系が好きなのだな」