「ごめんなさい。この涙は同情とかじゃないんです。嫌な想いをさせてしまったらすいません…。
話を聞いて、お母さまは社長と出会って本当に幸せだったんだなーって考えたら胸がジンとしちゃって…。
家族はまた作れるよって言葉にしてくれた社長も素敵だし、北斗さんが産まれた後もずっと幸せなのは
お家の隅々を見ていれば、私にだって分かります。 お母さまが、ずっと幸せで良かった………」
「香ちゃん……
ぐすん、そうね。私ずっと幸せだったのよ。
あなたは本当に良い子ね、人の気持ちに寄り添い合う事が出来るなんて
北斗が連れて来た子があなたのような子で良かった…。
私、もっと香ちゃんと話をしたいわ。 私は確かに両親を亡くしたけれど、自分が両親にしてもらえなかった事
沢山北斗にしてあげられたの。それはとても嬉しい事だったのよ」
「はい!私も沢山お話が訊きたいです」
城田さんの話を聞いて、自分が思っていたことが途端に恥ずかしくなった。
母はもっと幸せになれる人だった。ある意味俺は同情をしてしまっていたのだ。



