「わあ、嬉しい。私もお酒は大好きなの~~。」
「お母さん、あんまり城田さんに飲ませすぎないでくれよ」
「はいはい、分かってますってばあー。北斗は心配性な所があるんだから。
ささ、香ちゃんお父さんが帰って来るまでビールでも」
「はい…!お母さまもどうぞ!」
20時を回る頃、やっと父が帰宅する。
その頃にはすっかりと母と城田さんは仲良くなってしまって、俺の出る幕は余りなかった。
母は、城田さんが作ったクッキーを褒めちぎった。 プロ並みだわ、と感心している様で作り方までレクチャーしてもらっていた。
気を遣い過ぎてしまう彼女の事だ。突然両親に会わせるなんて困るに決まっている。
それでも俺は、彼女と付き合い始めて一番に自分の生まれ育った家庭を見せたかった。 それが彼女へ、自分がどういう人間か伝えるのに一番早いと思ったからだ。
多少強引だった事は反省する。



